第14章 出産
悟さんの頭を撫でながら、身動ぎをする。
「くすぐったいよ」
「だって嬉しいんだもん」
「ねえ?性別知りたい?」
「知りたい!」
目を輝かせる悟さん。
「なんと…男の子です!」
「マジ?念願の男の子だ!」
「うん」
「名前!マジで愛してる!」
嬉しそうに私に抱きつく悟さん。
「ベビー服とか買いに行けないままになっちゃったから、お願いしてもいい?」
「任せなさい!大人買いしてくるから!」
「すぐ大きくなるんだし、そんなにいらないから」
はしゃぐ彼を見て不安になる。
ねえ?
もし、私が死んでも…
この子を愛してくれる?
その日の夜、私は夢をみた。
可愛い我が子の小さい手を、口に入れてはむはむと遊ぶ悟さん。
『名前。この子の名前。僕が決めていい?』
『いいけど、変なのは却下だよ?』
『そうだなぁ。蓮は?』
『蓮?』
『そう。沖縄のハイビスカスに因んで』
そんな幸せな夢を見ている最中。
私の身体は、妊娠の負荷に耐えきれず
心臓が止まった。