第14章 出産
「お疲れ様です」
「ああ」
「一休みしますか?」
「コーヒーでも淹れてあげたいところなんですが、動けなくて…」
「私が買ってきますよ」
「ああ。頼む」
伊地知さんはコーヒーを買いに行ってくれた。
ぐったりとする硝子さんの頭を撫でる。
元気な野薔薇とは対照的だ。
硝子さんの術式って凄いんだな。
改めて思った。
硝子さんの頭が冴えたところで、再度赤ちゃんの話になった。
「この様子からすると、もう生まれてもおかしくない」
「えっ?…マジですか…」
「一般的には早産だとしても、これだけ大きければ胎児に問題ないだろう」
それを聞いて安心した。
この子が健康で生まれてきてくれるなら、私はどんな苦痛にも耐えられる。
その日の夜。
硝子さんに昼間言われたことを悟さんに話す。
「えっ!?じゃあ予定日分かんないの!?」
「うん。いつ産まれておかしくないみたい」
「そっかぁ。この大きいお腹からもう直ぐ出てくるのか」
「そうだね」
悟さんは愛おしそうに私のお腹にキスをした。