第14章 出産
死と隣り合わせのお仕事の呪術師。
悠二くんのように。
私が死んだら…
悟さんは野薔薇のように耐えられるのかな?
考え事をしていると、野薔薇に顔を覗き込まれる。
「つーか、名前さん、顔真っ青!大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「全然大丈夫そうには見えないんだけど」
「栄養が母体に届いてないんだ。ほら、治療するからこっち来な」
「えー!何それ?」
野薔薇は話しながら硝子さんの前に座り、治療を受ける。
「じゃあ名前さん、どうやって生きてんの?」
「だから瀕死なんだよ」
「それ笑い事じゃないでしょ」
ご尤も。
私だってまさかこんなことになるとは思ってなかったもん。
「じゃあ名前さんお大事に!硝子さんありがとう!」
「特訓は程々にな」
「またねー」
治療が終わった野薔薇は嵐のように去って行った。
元気だなぁ。
野薔薇が帰った後、伊地知さんが持ってきた書類仕事を済ます硝子さん。
仕事が一段落すると、背中を伸ばした。
かなり疲れた様子だ。