第13章 懐妊
side.五条悟
妊娠が分かってから直ぐに、僕らは高専に転居した。
名前は食事も喉を通らず、調子が良い時に食べさせても日に日にやつれていく。
子供は欲しかったけど。
こんな痛々しい名前の姿は見たくなかった。
見兼ねた硝子が毎日点滴をしてくれているが、悪くなる一方だ。
「私の憶測なんだけどさ。名前の血のせいで胎児が栄養を吸い取ってるってことはない?」
ふと問われる硝子の疑問。
僕と名前の子だ。
もしかすると不老不死の子なのかもしれない。
それなら骨と皮だけになった理由も頷ける。
「名前。今回は子供諦めない?」
「はっ?」
「おい。五条」
名前は呆気に取られた顔をして僕を見る。
硝子にも窘められるが、耐えられないんだ。
「…何…言うの?」
「だってこんなにやつれて、今にも死にそうじゃないか」
「それは…仕方ないでしょ?」
イライラしてきた。
弱っていく名前にも。
何も出来ない僕にも。