第13章 懐妊
side.五条悟
名前が妊娠しているかもしれない。
居ても立ってもいられなかった。
「硝子?」
『何だ?』
「酔ってもも診察は出来るよね?」
『何?怪我人?』
「いや。名前が気持ち悪がってて」
『そりゃお前みたいなクズ相手なら気持ち悪いだろ』
「僕もそれを一瞬疑ったけど、違くてさ。嘔吐反射が止まらないんだよね」
『妊娠でもしてるんじゃないの?』
「うん。でもあまりにも辛そうだから診てあげくれない?」
『過保護だな。まあ、いいよ。連れてきな』
「ありがとう」
電話を切ると、名前を抱えた。
「悟さん、車。無理…」
「大丈夫。僕に任せて」
僕は一瞬で高専に向かった。
「へっ?」
「大丈夫だったでしょ?」
「私、今、家にいたよね?」
「うん」
「………」
呆然としている名前に僕の術式を説明してあげたいけど、今は君の身体のほうが大事。
「硝子。入れてー」
「はいはい」
硝子にドアを開けてもらい、名前を診察台に降ろした。