第1章 One Night…?
人生、順風満帆にはいかない。
そう思い知らされたのは数カ月前。
それまでは、確かにトントン拍子に物事は進んできたのだ。
花嫁と呼ばれるその日を、指折り数えた。
指輪、式場、ドレス。
「一生に一度だから」と言って、優しい彼は、私に好きなものを選ばせてくれた。
優しい彼なんて、どこにもいない。
―――そんなことにも気づかずに。
鈍感でバカな花嫁は、この婚約者からある事実を打ち明けられるまで、彼のことを微塵も疑っていなかった。
いわゆる脳内お花畑というやつだったのだろう。
あの時の私に言ってやりたい。
頭の中のお花畑を蹴散らして、気づかせてやりたい。
さつき、あんたはその男に裏切られるんだ、って。