第6章 月夜に色づく ※
「もういい…十分…」
「気持ちよくない?」
「いいから、困るんだよ…、ふっ…、くっ」
私の肩を押し、咥えた口を引き剥がそうとしてくる。
「駄目だ、出るから…っ」
「出したら、エッチできなくなる?」
「え?」
「一日一回までしか出せないとか?」
「煽っているつもりか、それは…」
「ふふっ、私は平気だから。ハイジさんのを、受け止めたい」
ハイジさんは少しだけ困った表情を見せたものの、それ以上反論はせずシーツに後ろ手を着いた。
抗うのを止めたのだろう。
「はっ、ぁあ、さつき…、出る…っ」
口の中に温かいものが満ちてくる。
数秒ののち、先端を綺麗に舐めてからコクンと喉の奥に送り込んだ。
「……飲んだのか?」
「うん」
「そんなことしなくても…」
「ハイジさんのだから、私がそうしたかったの」
淫らな動画の真似事などではなく、本当にそうしたかった。
昇りつめてゆく声も、果てたあとの表情も、堪らなく愛おしくて。
呼吸を整えたハイジさんが、キスをくれる。
「気持ちよかったよ」
「んっ、うれしい…」
「ありがとう」
この人は、キスでの愛情表現が豊かな人なのかもしれない。
数時間前から始まった関係なのに、もう数え切れないくらいキスをしている。
再び、私が組み敷かれる番。
攻守交代した気分だ。
今の今まで、ハイジさんの感じてる顔に昂っていた。
それが一転、二つの腕が檻となり閉じ込められている。
思いきり私を翻弄して欲しい。
とにかく、ハイジさんの思うままに抱かれたい。
「さつき」
「うん?」
「セックス、しよう」
改めて何を言うのかと思えば。
堂々と宣言してくるこういう人柄に、最初は戸惑っていたっけ。
今は、潔くて、とても好き。
「うん…。して?」
一度は休戦状態だったハイジさんの男根は、いつの間にか復活している。
避妊具を被せると、さっきよりも遠慮のない手つきで私の膝を割った。
私も今度はさほど躊躇いがない。
受け入れる準備は、もう整っている。
一人で達してしまったあとも、ずっと燻り続けていた。
まだ足りない、次が欲しい、と。