第1章 贖罪のサンタクロース/フロ監
「そんなん苦労かけてやりゃいいじゃんね」
「贖罪のつもりですか」
「小エビちゃんがそう思いたいならそれでもいいよ」
「……先輩、私の事好きなんですか」
「あはっ、離さねぇって言ったじゃんね。だぁい好きだよ」
額に、頬に、唇に。そして左の肩口に。フロイドは柔らかい唇を何度も何度も降らせて。
流れる涙を舐めとってやって、愛おしそうに細めた双眸を少女に向けた。
「私も、フロイド先輩が大好きです」
安心したように綻んだ笑顔の少女は、背筋を伸ばしてフロイドの頬にぎこちなく唇を押し付ける。
少女から受ける初めての愛情表現に「煽るじゃん」と意地悪い笑みを浮かべて、今度は息も付けない程の何の配慮もない深いキスで少女を酔わせていく。
息が上がって、甘い吐息を苦しそうに零す少女の耳元に濡れた唇を当てた。
「オレの自由はオレが決めんだよ。離れようなんて考えらんねぇくらいぐずぐずにしてやっから、覚悟してね小エビちゃん」
吐息混じりのざらついた声で言われるものだから、全身が溶けてしまいそうな熱に侵されていく。
尖った歯列の隙間から伸びた舌で、上唇を舐める仕草が余りにも妖艶で。
フロイドのカオが、自身のはだけて露わになった左の肩口に落ちていく光景を見届けてから、ユウはゆっくりと瞼を閉じた。
- fin -