第5章 Dye Me In Your Hue/フロ監
明度の違う瞳は人の姿のときと同じ色だ。その瞳の中に映る自身がゴールドとオリーブに染まっていて、それが酷く幸せだった。
「フロイド先輩、フロイド、先輩」
「んー、なぁに、小エビちゃん」
首に手を回して縋るように力を込めれば、ちゃぁんと居るからね。と優しく少女を抱き締め返す。
ユウはその声と温度に安心してもう一度瞳を閉じた。
自ら覗き込んで手を伸ばした。永遠に底が無い場所へとゆっくりと堕ちていく。
深淵。一筋の光も通さぬそこは、闇と静寂に包まれていた。
恐怖に飲まれぬよう、暗闇で貴方のカラダを掻き抱いて鼓動に縋る。
そうして髪色と同じエメラルドブルーに包まれて、僅かに開いた瞳で小さな金の光を見つけて安心して微笑むのだ。
小エビちゃん、愛してるよ。だからね、俺だけでいいんだよ。俺だけを見つめて、俺だけを欲して、俺だけを求めて。ねぇ小エビちゃん、このまま俺の色に染まって堕ちて。這いあがれないくらいに。
小エビちゃんには俺だけでいいんだよ。全部染めてあげる。全部全部俺だけに。
微睡みながら微笑む少女の唇にキスをすれば、少女は幸せそうに微笑んだ。
- fin -