第3章 仮初の夫婦生活
最後の一週間。
その頭に、俺はやっとある重大な事に気がついた。
そういえば、
ここに来てから真琴が自殺未遂をしていない。
和室の天井には立派な梁があって、
いつものあのバカ女なら
首つりの算段でもしそうな物なのに、
そんな様子は一度もなくて。
近くに川があるというのに入水もなければ、
裏山の滝から身投げという事もなかった。
それどころか、真琴はいつ、
何時に帰ってもその家にいて。
もしかしたら会社に出社すら
していないのかもしれない。
そう気付くまで時間がかかったのは、
普段の奴のサボり癖のせいであって、
断じて俺が鈍感だとかそういう事ではないと思う。