第3章 仮初の夫婦生活
次の一週間は、完全に諦めて過ごした。
まあ、なるようになるだろう。
どんなどんでん返しが待っていようが、
命まではとられない筈だと結論付けて。
仕事帰りに買った物を「土産」と短く告げて渡すと、
真琴が中身を確認して目を白黒させた。
「えっ、えっ!?何これ!指輪じゃない!?」
「ああ。小道具だ。夫婦には必要なモンだろ?」
「いや、そうだろうけど、は!?
ちょっと、これ、ハリーウィストンって書いてあるけど!?」
「結婚指輪といえばそれだって部下が言ってた。
俺には生憎そっちの知識はねぇからな。」
「だからって、バカじゃないの!?高かったでしょう!?」
「指輪なんだからそこそこして当たり前だろ。
それより、ほら。
手出せよ。」
「え?」
「はめてやる。夫婦なんだろ?」