第4章 女中として
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そう…
私は…
『私は治癒能力を持っている天人なんです』
土「治癒?」
『いや…治癒だと少し語弊があるかもしれません。 不死身…と言ったほうが最適かと』
土「……」
土方は嘘だろ、という表情で私を見ている。
信じられない、ということだ。
こんなこと人に話すのは初めてだった。
怖くて、普通の人には話せなかった。
でも、こいつーーー…
土方には話しても良いと思った。
『私は、死なないんですーーーーー…』
土「……あぁ」
『すぐに傷口が塞がって、死にたくても死ねない。 私が死ぬ方法はただ一つだけ…』
土「……」
土方は私の顔をまじまじと見つめる。
ああ、整ってるなあ。
むかつくけど。
モテるんだろうなあ。
『最愛の人の血を染み込ませた杭を心臓に刺すことです』
土「…杭?」
『…まるで吸血鬼みたいでしょう?
でも、私にはまだ最愛と呼べる人がいない。つまり、私はまだ死ぬことはできないの』
土「はっ……嘘のような話だな」
『…人に話したのはあんたが初めてだから』
土方は考え込むように俯いてしまった。
もう、話はこれだけ。
私は部屋を出た。
『…ありがとうね』
部屋を出る時に言ったその言葉は
あいつに聞こえてたのかはわからない。