第2章 大丈夫って言ってるやつが一番大丈夫じゃない
口の中に鉄の味が広がって
舌がじんじんと痛む。
「いて‼︎」
その男の指も強く噛むと、
男は手を引っ込めた。
『邪魔しないで‼︎』
「こ、この女ぁ〜」
「待てトシ。 何か裏があるとは思わんか?」
「いきなり何を言い出すんだ近藤さん」
「あの大手企業の坂本グループがこんなに大金出して俺たちを雇ったんだぞ? 何かあると思わんか?」
「俺もずっと考えてやした。 この女の捕獲には何か裏があるはずでさァ」
三人がどんどん話を進めていく。
大金を出して真選組を雇った?
あいつどんだけ私を手に入れたいのよ。
「とりあえず屯所に言って話聞かせてもらえるかい?」
ゴリラみたいな男が私に笑いかける。
でも私はそっぽを向いた。
話すことなんてなにもないし、
こいつらは私を捕まる敵だ。