第2章 大丈夫って言ってるやつが一番大丈夫じゃない
『どうしても連れてくつもりなら今ここで舌を噛みちぎって死ぬわ‼︎』
私は黒髪の男に向かって舌を出した。
『私は本気よ』
負けじと私も男を睨みつける。
こっちだって死ぬ気で逃げてきたの。
あいつからね。
あいつの元に戻るなら死んだ方がましだわ。
「まあ、トシももそう言わず…
ちゃんが疾走したのも何か深いワケがあるみたいだし…」
ゴリラみたいな男が間に入って私たちを落ち着かせる。
「俺は生意気な女の方が好きでさァ」
茶髪の男がそう言って私の髪の毛を触る。
私は振り向いてその男も睨む。
「ほう〜。こりゃ調教しがいがありそう」
『ふざけないで‼︎ ほんとに死ぬわよ‼︎』
私は今度こそ、と
舌を強く噛んだ。
「ちょっと待て‼︎」
黒髪の男が私の口の中に指を突っ込んできて噛ませないようにした。