第3章 初恋 (佐野万次郎)
『…っもしもし!』
〈もしもし真ちゃんだよ〜っ〉
携帯を持っていられなくてスピーカーにする。
キッチンに携帯を置いたまま万次郎くんから与えられる刺激に声が出ないよう必死にこらえる。バレる訳にはいかない。
『真ちゃんお疲れ様』
〈おつかれ、エマには伝えたんだけどやっぱり帰れそうになくてさ…でもの作ったご飯たべたいから残しておいて!帰ったら昼にでも食べる!絶対食べる!〉
『ふは、うん分かったよ残しておく』
〈ああ〜会いたいよ〜っ!〉
『朝あったじゃん…んッ』
〈どうかした?〉
『…っいや、何でもないっ』
私たちの会話が始まってから大人しくうしろから抱きしめていただけの万次郎くんの手が内腿を撫でた。トップスをまくられて背中に舌を添わせたりキスを落としたりしてくる。リップ音が聞こえそうで怖い…っ。
「…真一郎にバレるよ…?
声我慢だよ。」
私にしか聞こえない声で囁いた万次郎くんに下半身が疼いたのを感じる。
〈…誰かいんの?〉
『え…っ?』
「俺がいるけど、なに真一郎」
…っ!?
〈なんだ万次郎かっ!今日も2人で夕飯買い出しいったのかー?俺もと買い出し行きてえのにー!明日は俺と行こうな!〉
「いや、今日すんごい買ってたから
当分買い物行かないと思う」
〈んじゃデート行こう!〉
『うん、行こうね真ちゃん』
「弟の前でイチャつくなよ」
〈ラブラブで羨ましいだろ!
お前も早く彼女つくれよ〜っ〉
呑気で鈍感な真ちゃんは無意識に万次郎くんを煽っている。煽られた万次郎くんの矛先はやっぱり私なわけで、内腿を撫でていた手をショーツへと滑らせて薄い布越しにワレメを撫でてくる。
『…っ!んん…っ』
〈ー?〉
『っん…?』
〈体調わるい?大丈夫か?〉
『…っいや、全然大丈夫…っ
ごめんね今…料理ちゅ…うでっ』
〈んあ、そーだったの?ごめんな邪魔した!
明日の昼までには帰るから!〉
『ん、わか…った』
〈…? おう、またな〜っ〉
『またね、頑張ってね真ちゃ…んっ』
プツリと切れた通話とともに万次郎くんに口を塞がれる。
『んは…あっ万次郎く…っん!』
「よく我慢できました…ご褒美あげるね」