第3章 初恋 (佐野万次郎)
「そんなわけ…なに?」
『そんなわけない…のっ』
「…今日真一郎帰ってこないよ」
あ…そうだ。
さっきエマが言ってたんだっけ。
『だからなに…っ?
真ちゃんいなくたってダメだよっ』
スルスルと素肌を滑る万次郎くんの指が心地いい。だけど口だけでもダメだと否定しないと体が否定してくれない…っ。
「続きは今度しよって約束したのに?」
『するって言ってな…んっ』
頬を優しく包まれてキスを落とされる。
真ちゃんとは違う激しいキス。
私は真ちゃんがくれる優しいキスが好き。
優しくて柔らかくて長いキス。
なのにこんな…こんな気持ちいキス知らない…っ
「…そんな顔すんなよ」
『ん…っ』
「そんなえろい顔されたら止まれねえけど。」
私…今どんな顔してるの?
『ん…まんじろ…くんっ』
「ん、…可愛い…好き。」
激しく求めるような万次郎くんのキスに溺れてしまいそうになる。もっと欲しいと思ってる私がいる。押し返さなきゃいけないのに力が入らない。
『んふ…っんはぁっ』
酸素を求めて開いた口にヌルっとしたものが割って入ってきた。驚いて引いた腰をグッと引き寄せられて口内で私の舌を追いかけるように絡めてくる万次郎くん。
「…マジで可愛い…ほんと好き。」
そう言いながら再びスルスルとシャツを捲って入ってきた万次郎くんの手が今度は下着のホックを器用に外した。既に硬くなっていた蕾をツンと指先で弾く万次郎くんに甘い声が止まらない。
『あぁ…っンン…そこや…あっ
ん…ふぁあっきもちぃ…やだあっ』
「きもちーね…もっとしてあげよーね」
手際よく私の上半の服を脱がせて万次郎くんと向かい合う形で抱きしめられる。首筋から耳にかけて何度も舌を沿わされて焦らされているようや感覚。もっと…もっとちゃんと触って欲しいのに…っ。
『んあっっンンッ』
ぱくっと膨らみの主張を口に含みながら両手でやわやわと形を変えられる。ここがキッチンだってことを忘れそうになる。チロチロと舌先で弄られてもう立っているのが辛い。
「気持ちくて立ってらんねえんだ?」
コクコクと頷くことしかできない私に嬉しそうに笑う万次郎くんを可愛いと思ってしまった。そんなに私が欲しいのかと。自惚れてしまう。