第3章 初恋 (佐野万次郎)
プルルルル
「あ、もしもしドラケン!
うん、今出るよっ」
エマってば嬉しそうだなあ
最後の確認で鏡を入念に見ているエマのかわりに玄関を開ける
『やっほー賢くん、さっきぶり!
エマ迎えに来るなら一緒に帰ったのに!』
「言おうと思ったけどマイキーがちゃん連れてさっさと帰っちまうからタイミング無かったんだよ」
『あー…ごめんね。』
「いや、ちゃん悪くねえよ
逆にマイキーのお守りサンキューな」
「わー、ごめんドラケンお待たせ!」
「おう、んじゃエマ借りるわ」
『はーい、そのまま帰ってこなくても…♡』
「ば、ばか!帰ってくるよ!」
ガチャンと玄関が閉まって私はリビングへと戻る。今日の夕飯はグラタンにしよーっと。
『万次郎くん、今日のご飯グラタンでいい?』
「お、グラタン久々!食べたい!」
『うん、じゃあ作るね!
先にお風呂はいっといでー』
「ありがとう、いってくるよ」
『はあいっ』
実は買い物に行く前、途中まで作ってたのよねー。けど材料足りなくてお買い物いったらあっという間に色んなもの買ってて…万次郎くんがバイクで出かけててよかった。
『ふふーん♪チーズかけてーえ〜♪
ありゃー、結構早くできちゃうなあー
万次郎くん出てきてから焼こうっと!』
その間に洗い物しよーっと!
『お皿きれーいきれーいっ♪
ふふーんふーん♪』
「歌いながら皿洗いしてんの?」
『万次郎くんっ!』
「あ、もしかして俺待ちだった?」
『出来たて食べて欲しいからね』
「なんか…2人っきりでさ、飯作って待ってくれてるとか付き合ってるみてえですげえ…楽しい…かも。」
『もーなにいってんの?って万次郎くん…っ』
お皿を洗う私のお腹に後ろから手を回してバックハグをする万次郎くん。シャツから滑り込んできた指が素肌を撫でる。
「…警戒心なさすぎ。」
『ちょ…っと万次郎くんっ?』
「ほんと…俺に食われちゃうよ?」
『んん…んあっ』
やばい…変な声出た…っ!
慌ててくちを抑えてみるけどもう遅い。
「ふは、触られんの待ってた?」
『そんなわけ…っ』
そんなわけ…そんなわけない!
だって私は真ちゃんの彼女…なのにっ
なのにこの先を求めてしまってるのはなんで…っ