• テキストサイズ

今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第16章 たったひとつの (五条悟)



「ねえはやく。学校着いちゃうよ?」

『しないってば!』

この目に騙されちゃだめ。
悟は分かっててやってるんだから。

「ふーん。僕なんかより伊地知が好きなんだねぇ。だから僕の手振り払って伊地知んとこ走っていったんだぁ。へぇふーーん。」

「ひ、ひぃ…っ!」

伊地知さんの小さな悲鳴が車内に響く。

『別に振り払ってはないよ…あと伊地知さん可哀想だから巻き込まないであげて。』

今まで悟に何をされてきたのか、いつも怯えていて本当に可哀想だよ…。

「が今ここで僕にちゅーしてくれないならあとで伊地知詰めよっかなぁ」

『なんでよ伊地知さん何も悪くないのに…っ』

「でも伊地知見つけて走っていったのは本当でしょ。」

「ご、五条さ、ん…っ」

「なに伊地知。は僕のだよ。」

「ぞ、存じておりますが…っさんは承諾しているのでしょうか…?」

「はあ???は僕のって出会った時から決まってんのー!!!」

運転席に身を乗り出して伊地知さんに噛み付く悟。大の大人が運転中の人に…危ないよもう。

『悟、だめだよ伊地知さん運転してくれてるんだから』

「伊地知ばっかり…!僕の気持ち知ってるくせに!」

『わがまま言わないの大人でしょ。伊地知さんごめんなさい。』

「いえいえ…とんでもないです。」

悟より伊地知さんの方がよっぽど大人だよ…。

「ちゅー。」

凝りもせず擦り寄ってキスをねだる悟。

『伊地知さんにごめんねする?』

「……。」

黙り込んだ悟の顔を覗き込んでほっぺを軽くつねる。

『ごめんなさいできますか?』

「デキマス。」

『じゃあして。はいどーぞ。』

「…い、伊地知ごめんね。」

「と、とんでもございません!!!」

ビッと背筋を伸ばして声を張る伊地知さんを見て ご褒美、ともう一度私に詰め寄る大きな影。
/ 966ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp