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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第16章 たったひとつの (五条悟)



side you

悟の膝の上に向かい合うように座らされて蒼の瞳に見つめられる。その目が優しくてつい両親の存在を重ねてしまう。

悟からの愛は私にとって無償の愛に近かった。年の離れた兄のような、親のような、そういう存在に近いんだと思う。

『まだあんまり理解が追いつかなくて…ごめん』

「ううん、僕はいつまででも待つよ。」

『悟は家族みたいなものだと思ってたから…』

「僕と結婚すれば家族になれるよ。どう?」

『…どうって。』

「僕は本気だよ?が僕のお嫁さんになってくれたら五条になるんだよ?」

『それはそうだけど…』

悟はへらりと笑ってみせるけど目の奥が笑ってない。本当に本気なんだと思う。彼にとっていつから恋愛の対象だったんだろう。きっかけは何?

「僕のお嫁さんになってほしい」

『いろいろ飛ばしすぎだよ悟。』

「愛してるよ。結婚を前提に僕の恋人になって?」

大きな手が私の頬を包んでスリスリと指先で耳たぶに触れる。近づいてきた唇がそっと頬におちた。

『…っちょっと、』

「キスなんて何度もしてきたのに照れてるの?かぁわいんだから♡」

『今までとはわけが違うっていうか…』

「僕からしたら変わらないよ。今までだって好きな子だから触れてたんだし。」

悟が初めて私を抱いた日、とろけるほどに甘い声で "好き" って何回も言ってた。雰囲気作りのために言ってるんだと思ってたのに。

『私の…どこがすき、なの?』

「なになに、聞きたいの?いいよ♡」

空気が甘くなるのが分かる。
私の腰を支えていた腕に引き寄せられて鼻先が触れるほど近くなる。

『や、やっぱり大丈夫…っ』

「そう?もしかして照れちゃったの?え〜可愛すぎない?」

このままじゃきっと埒が明かない。悟の愛からは逃げられないし…そうだ寝よう。寝てしまえばいいんだ。そうしよう。
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