第16章 たったひとつの (五条悟)
バスルームを飛び出したを捕まえて柔らかいタオルで丁寧に水分を拭き取ってやる。
『自分でできるよ…?』
「ううん、僕にやらせて」
少しずつ、少しずつでいい…こうやって何でもかんでも僕にされるがまま僕がいなきゃ靴下すら履けなくなるくらいになればいいと思ってる。
新しいボディクリームを真っ白な肌にやさしく塗り込む。好みの香りとテクスチャ。がいつも使ってるヘアオイルはいつの間にか僕も同じものを使うようになった。
『このボディクリームいい匂いする。好き。』
「だと思って用意したよ」
『待って、このドライヤー!』
いつもドライヤーが置いてある場所に視線をむけたあと僕を見つめて目を輝かせている。
「が欲しがってたやつ。」
『嬉しい…!でも高かったでしょ…?』
「僕を誰だと思ってるの?これくらい100個でも1000個でも買ってあげるよ。」
『…そんなにいらないよ笑』
「はい、ここ座って。これ使って綺麗に乾かそうね。」
『悟美容師さんみたい』
「僕の髪ちゃんと乾かせてる?」
『うん完璧、ありがと』
の望むものはなんだって与えてあげられる。お金で買えるものも愛も安心できる場所も。だから僕のところにいて。
この髪だって毎日…は無理かもしれないけど僕が乾かしてあげたい。綺麗でサラサラでずっと触ってられる。
「相変わらず髪綺麗だね」
『悟がいつも丁寧にケアしてくれるからだね。』
「僕のおかげ?」
『うん』
「そっかあ〜嬉しいなあ♡」
僕の手でさらに綺麗になるなんて堪らないよねぇ。僕が育てました、みたいな?そう言っても過言じゃないと思うけど。