第3章 初恋 (佐野万次郎)
あれから1週間、特に変わったことも無くいつも通り。避けられることもなければ近づくこともしてこない。相変わらず俺やエマの目の前でを溺愛する真一郎の様子からしてバレてることもなさそうだ。
「「「「「お疲れ様です!総長!」」」」」
ぼけーっとしていた俺の耳に隊員の声が響く。
あ、そっか今日集会か。
「おいマイキー、なにぼーっとしてんだ」
「ごめんけんちん考え事してた」
「あっそ、今はちゃんとしてくれよ」
1週間何も無いといえど、あんなことしちゃったのに。忘れられるわけなくて、何度も何度も俺の下で甘い声をだすを思い出して1人でシた。綺麗なカラダだったな…もっと触れたい。今度は最後まで…って今考えるんじゃねえ。考えただけで体が熱を持ち始めているのがわかる。
「おい、マイキー!」
「っごめん!」
「なんかあったんか?ちゃんか?」
「はは、けんちんには隠し事できないや…っ」
なんとか集会も終盤まできたところでポケットに入っている携帯から着信音が聞こえた。隊への話をけんちんに任せて携帯を確認すれば大好きな人の名前が目に入った。誰に断りを入れることも無く速攻出た。
「だ」
夕飯の買い出しに行ったらあれもこれも買いすぎて途中まで歩いたけど重くてやっぱり持てないから助けてほしいとのことだった。どこにいるのかと聞けば武蔵神社の階段に座って休憩中だと。ドンピシャすぎるだろ。集会中だってことも忘れて隊をかき分け階段を降りる。
『あれ、今日もしかして集会だった?』
「うん、今上でやってるよ」
『わー、集会中に総長呼び出すとか…
ごめんね1人で帰るよ!!』
「いや、もーすぐ終わるから一緒に帰ろう
1人で買い物行かせてごめんな
もう暗いしここで待たせる訳にも行かねえから
上あがって俺のそばで待っててよ」
『いやでも…私場違い…だよ?』
「んなことかんけーねえよ
暗いからあぶないっつってんの。」
『そ…っか。わかった。』
荷物をもち石段を上がって元いた場所に再び戻る。
目を丸くした隊員と何してんだという顔のを知ってる幹部数人。けんちんの視線が痛い。