第3章 初恋 (佐野万次郎)
料理をして、一緒にたべて、片付けをして、あんなことをしておいて言うのも変だけど、特に気まずい雰囲気もなくいつも通りだった。
『ふー、おなかいっぱい!
よーしお風呂はいろーっと』
2回目?って思ったけどあんなことシた後は
お風呂入るのが普通か?
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お互い風呂をでてテレビを見ながらアイスをたべる。驚くほどいつも通り。もっと避けられたりするもんだと思ってた。俺を警戒する素振りもなく同じソファに腰掛けてるんだから、自分がどんだけ意識されてないかが分かる。
「ねえ…?」
「んー?」
目線をテレビに向けたまま返事をする。
「あの…さっきのさ…」
『さっきのって?』
少し冷めた声に心臓がぎゅっと痛くなる
「え、キスとか…いろいろ…」
『…なんもなかったよ』
「え?」
『なんにもなかった。…ね?
私はこの先もずっと万次郎くんといたい
真ちゃんのことだって大切なの…だから』
「…っいやだ!」
『へ?』
「なかったことになんてしないでよ。
なかったことになんでできない。
おれ…っ俺は…のことが」
『万次郎くんっ』
「…っ」
『だめだよ万次郎くん。
私は真ちゃんの彼女だよ』
「それでも俺は…諦めらんない。
ごめんガキで…けどずっと好きだったから。
真一郎よりずっと前から…俺は…」
『…ふぅー、うん…わかったよ。
万次郎くんの気が済むまで待つ。』
「え…いいの?」
自分で聞いておきながら驚いてしまった。
そんなこと言うなんて思わないだろ。
『うん…待つよ。
好きってそんな簡単に消えないもんね。』
アイスを食べながらやっと視線を俺に向けたくれたがいつも通りの優しい笑顔を見せた。
「ごめ…」
『どうして謝るの?』
「だって俺…諦めの悪いガキじゃん…」
『そんなことない。こんな私を好きだって言ってくれて嬉しいよ。ありがとう万次郎くん。それに…諦めなけれれば叶うことだってあるよ…なんて私が言うのも変だけどさ。』
「…っ諦めねえよ。
が俺を好きになるまで絶対」
『はは、万次郎くんカッコイイからなーあ
うん、期待してます』
からかわれてるのは分かってる。
だけど少しの可能性にかけたい。
絶対振り向かせてみせるから。