第16章 たったひとつの (五条悟)
あれ…ちょっと待って。あれ…?
『さーとーる?』
「ねえ」
『なに?もう寝たいんだけど…』
「昔は僕のことお兄ちゃんって呼んでたよね?さとるお兄ちゃんって。」
『そうだったかもね』
「そうだったの!ねぇいつからお兄ちゃんって呼んでくれなくなったの!?よーんーでーよー!!」
抱きしめたままいたの肩を掴んで問い詰めるけど覚えてないとのこと。僕だっていつの間にかすぎて気づいてなかった…こんな大事なこと!!
『今更お兄ちゃんだなんて恥ずかしいよ。悟じゃだめなの?』
「いいけどぉ…!久しぶりにからお兄ちゃん♡って呼ばれたいっ!!」
『なにそれ…ハート付きじゃなきゃダメ?』
「だめっ」
『嫌なんだけど…ほんと恥ずかしい』
僕から顔をそむけて腕の中から抜け出そうとする体を抱きしめて逃がしてあげない。
「なーに、眠いの?」
『さっき寝たいって言ったじゃん…』
「じゃあ呼んでくれたら寝かせてあげる!ね?」
抵抗をやめて僕に向き直った彼女が僕の頬に両手を添えて言った。
『私たち明日も朝から学校だから早く寝よ?お兄ちゃん♡』
「はわ…っっ!!きゅーーん!!可愛い!録音したいもう1回言って!」
『言わない!』
「えーお願い!」
『いや!寝る!』
「分かったよぉ…が寝てるあいだに身体中キスマだらけにして寝顔眺めて僕のでたくさんよしよしするけど分かったよ…。」
『あーもう分かったよ…!1回だけだからね!』
「え、いいの?ありがと♡スマホ持ってくるからちょっと待ってね〜♡」
スマホの録音機能を開いてマイク部分を彼女の口元にあてる。
「はい、いーよっ」
『はあ…あし、たも…』
「あーだめっ!恥ずかしがらないで可愛いんだからあ!はい、もう1回!」
『…あ、明日も朝から学校だから…早く寝よ?お兄ちゃん…っ♡』
「ンンン!可愛い!録れたありがと〜♡」
『はい、良かったです…じゃあもう寝るから。』
「は〜い♡僕もすぐ行くからね〜♡」
慣れた足取りで僕の寝室へと消えていくを見送ってから何度か録音を聞いて僕も寝室へむかった。