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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第16章 たったひとつの (五条悟)



side五条

隙間なくぴったりと俺に抱き寄せられてるは昔を思い出しているのか考え込んだように遠くを見つめてた。


僕が出会った4歳の少女は

いつの間にか僕の一番大切な存在になった。


許嫁として紹介されたその子は多分何も分からず知らされず五条家に連れてこられた。俺も何も知らされず本家に呼び戻されたと思ったら許嫁ですって4歳の女の子差し出されて何がなんだか。

でもその子はこの汚れた世界を何も知らなくて。純粋な瞳で僕に言ったんだ。

『お兄ちゃんの目青くて綺麗ね。ママが読んでくれた絵本の王子様みたい!』

一生懸命背伸びをしてにっこり笑う少女に俺の中の何かが弾けた。それなら俺が君の本物の王子様になってあげるよって、確かそう返した。だって許嫁だし実質そういうことでしょ?キャラじゃないのは分かってる。後日 傑と硝子に話したらゴミを見る目で見られたんだから。

恋に落ちたわけじゃない。

ただ、この子の未来を守りたいと思った。

綺麗な世界だけを見て生きて欲しいと思った。

そんなの呪力を持つこの少女には叶わないことだと分かっていても願わずにはいられなかったんだ。

結局許嫁は解消されたんだけど僕はそのままでも構わなかった。今になってより一層思う。あのままが僕の許嫁だったら良かったのにって。

状況が変わったのは出会ってから1年も経っていなかったと思う。

の両親がの目の前で殺されたんだ。呪霊によって。

でも僕はそうなるように仕向けた誰かがいると思ってる。五条家かのばあちゃんか。真相は分からないけどね。でも殺されたんだ。呪いに。

僕が到着した頃には血で染まった真っ赤な部屋に丸まって座り込むがいた。

「…っ!!」

『悟お兄ちゃん…!お父さんとお母さんが…っ』

「ここは危ねぇから高専に行こう…」

『…でも、まだお母さんが息してるの…っ助けて…!』

ひゅうひゅうと今にも止まってしまいそうな呼吸を繰り返すの母親が俺を見つめて安心したように笑って言ったんだ。

「をお願い…します…っ」
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