第16章 たったひとつの (五条悟)
そわそわした気持ちのまま教室に入るとまだ釘崎すら来てなくてまさかの一番乗り。
「つぁ〜やっちまった…」
『悠二くんおはよ〜』
「んわっ!はよ…っ!」
いつも通り制服に身を包んだがいつも通り挨拶をしてくれた。ビンタ覚悟だったのに…。
「あの、さ…」
『うん?』
「昨日…っその、」
『うん』
「嫌…だった?」
『え?』
「いや、朝起きたら隣にいなかったから…怒って帰っちまったのかと思って。」
『あぁ…それは着替えとかいろいろ準備あったから。それに悠二くん気持ちよさそうに寝てたし起こすのも悪いなって。』
一言声かければ良かったね、って。
「なんだそっか…嫌われたかと思った…。あ、これの好きな飲み物とよく食ってるグミ。良かったら受け取ってくれん?」
『え、ありがとう。いいの?』
「ん、貰って欲しい。俺は昨日すげぇ嬉しかったから……あのさ、順序間違えちゃったけど俺…っ 」
「おっはよ〜」
『野薔薇おはよ〜』
「…はようございます…」
「なによテンション低くない?」
「いいえなんでも!!」
今じゃ無かったですかね…!?
絶対今じゃなかったですね!
改めてちゃんと伝えないと昨日のあれが誤解されたままになっちゃう気がする。好きだから手出したって…誰でも良かったんじゃないって。じゃなきゃ抱きたいと思わなかった。
「おっっはよー!みんな〜!あれ、悠二テンション低くない!?」
バン!と勢いよく開いたドアからスキップで現れた五条先生が俺の顔を見るなり テンション上げて!と詰め寄る。
「な、なんもねえって!だーいじょーぶ!元気!」
「ん〜そお?んならいんだけどねぇ??」
五条先生って何考えてるかあんま分かんねぇし、全部見透かされてるような気がするのはあの六眼のせいかな。
「あ、そうだはちょっと僕んとこ来て〜」
『わかりました』
「んじゃとりあえず自習で〜!」
ちゃんとやるんだよ〜って出ていった先生の後をついても出てって、教室には俺と釘崎だけが残った。