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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第15章 青の日々 (及川徹)



side you

いま私の瞳に映っているのは夜空に大輪を咲かせる花火…ではなく告白の言葉を紡ぐ及川。何度も伝えてくれた " 好き " なのに、こんなにも締め付けられるのはなんでだろう。こんなにも泣きそうになるのはなんでだろう。

自分の瞳がじんわり熱くなって濡れていく。

私はもう分かってる。戻れないほどに及川に恋をしていることを。この場所を意気揚々と教えてくれた及川にチクリと痛んだ胸。自分じゃない誰かと、もしかしたら女の子とここへ来たんだろうかと考えるだけで心にモヤがかかって苦しくなった。

それなのに私が初めてだって知ってすごく安心した。いつも真っ直ぐ向けてくれる好意も、バレーをしている時も、先輩たちから守ってくれた時も、今この瞬間も、私は及川に恋をしている。

及川が欲しい。

残り少ない時間全てをかけて及川を愛したい。

花火が打ち上がると同時、私を真っ直ぐに射抜く及川が口を開いた。

「俺の彼女になってくれませんか」

すぐにでも手を伸ばしてしまいそうになるのを堪えて今度は私が言葉を紡ぐ。

『私結構わがまただよ』

「え?全然、いい…です」

きっと予想外だった返答に戸惑ってるらしく目を丸くして言葉を詰まらせている。

『嫉妬もするかも』

「むしろ嬉しいくらいだよ」

今度は目を細めて嬉しいと言った。
私を愛おしそうに見つめる及川のこの表情が好き。

でも私には言わなくちゃいけないことがある。残された時間が少ないということ。それでもそばにいたいというわがままな私を及川は許してくれるだろうか。

『及川より先に死ぬ、かもよ…』

ちがう。もっとちゃんと言わなくちゃいけないのに。こんなこと急に言ったって困らせるだけ。

「もしそうなっても最期までそばにいるよ」

なのに及川は変わらずに優しい声色でそう言った。俺より先に死なないで、くらい言われると思ったのに。そう言われなかったことにひどく安堵してしまった。

自分の中で堰き止めていたいたものがガラガラと音を立てて崩れていく。この手を取りたくて仕方がない。私も好きだと伝えたい。


『及川の…彼女になる━━━』


気づいたらそう口にしていた。
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