第15章 青の日々 (及川徹)
side 及川
繋いだままいた手を引いて2人で人混みから離れる。振り返るとまっつんが親指を立ててから手を振ってくれた。ほんと心の友すぎるよ!!
『人減ってきたね』
「こっちの方はだいぶね。あそこの階段登ったとこの芝生にベンチがあってさ。ほとんど人いないし綺麗に見えるから穴場なんだよ!」
っていうのはまっつんの受け売り。
『詳しいね。去年女の子と来たの?』
「来てないよ!?」
『ふーん。』
「え…ねえもしかしてヤキモチ…?」
『えっいや、そんなんじゃ…っ』
ふーん、って頬を膨らませた表情。可愛すぎる。初めて見た。俺がちゃん以外の女の子と来るなんて絶対ないじゃん。ヤキモチ…だったりしてくれないかな。
「ヤキモチだったら嬉しい…とか思ってるんだけど。」
『そうだよなんて思ってても言えない』
「え、なんで?」
『だってそんなのずるいでしょ。及川の心を縛り付けておいて嫉妬はするなんて都合良すぎるよ。』
縛り付けてるとか思ってるの…?
俺が好きで勝手に追いかけてるだけなのに。
「ずるくない。脈アリかもって俺が舞い上がるだけ。」
『そうやって期待させるのがずるいんだってば』
「最終的に叶わなかったとしてもずるいなんて思わない。むしろ叶わないなら期待くらいさせてよ。俺はちゃんを好きで幸せだから。」
今だって初めて繋いだ手が熱い。
俺たち恋人同士に見えてるかな。
『及川って…ほんと馬鹿だね。』
「馬鹿でいいよ。好きなんだもん。」
『……ヤキモチだよ。』
「え?」
『及川が他の女の子とこうやって花火見に来たのかなって…考えたら嫌だって思った。だからヤキモチ。』
「まって…まって。うそ…?」
『ほんと。』
嘘でしょちゃんがヤキモチ…?
可愛すぎて無理なんだけど。
ていうかほんと期待しちゃうよ。
『お、到着?』
「みたいだね。」
気付かぬうちに階段を登りきってたらしい。まっつんの言った通り誰もいないや。ベンチにハンカチを敷いてその上にちゃんが腰かける。
『さっきも敷いてくれたのに…ありがと。』
「ちゃんじゃなきゃしないよ。」