第15章 青の日々 (及川徹)
「え、なに。なにその感じ。なに?」
戻ってきた私たちを見るなり目を見開いて信じられないという表情をする花巻くん。
「あー、ついに及川に捕まった?」
ちょっと楽しそうな松川くん。
「に嫌がらせしてんならぶっ飛ばす」
通常運転の岩泉。
『ただいま』
「おかえり。え?及川と付き合った?」
見開いたままいる花巻くんと目線が合って咄嗟にイタズラをしてみたくなった。
『まあ、そんな感じです』
「うそだろ及川ぁあ!なんだかんだ言ってお前は裏切らないと思ってた俺が馬鹿だった!!!クソー!」
花巻くんの反応はいつも面白いからついね。
「へあ…っあ、え。ちゃん…?」
『ん?』
「おい、あんまからかってやるなよ及川が泡吹く」
放心状態の及川を見て岩泉が言う。やっぱりこの人に冗談は通じないみたい。つれないなぁ。
『花巻くんの反応が面白くてつい。ごめんね。』
「なっっんだよも〜〜!焦ったわ!」
「え、俺いま嘘でも一瞬ちゃんの彼氏になれたってこと?むり幸せすぎる。」
「及川〜?帰ってこーい?」
顔の前でひらひらと手を振る松川くんにこれっぽっちも反応を見せない及川。これはやりすぎた…??
『人混みではぐれそうだったから手繋いでもらってただけだよ。草履も慣れなくって。ね、及川?』
「うん、今はまだそうです…っ」
「諦めないねー笑」
くくっと喉をならして笑う松川くんも嘘だって気づいてたみたい。
「あ!花火もーすぐ上がるんじゃねえの?」
花巻くんの声に皆が時計を見る。花火が上がるまであと10分。確かに人も増えてきたしそろそろだ。
「俺いつもあっちの方で見てんだけど人多すぎてさすがにちゃん埋もれちゃいそうだから及川連れてってさ、向こうの丘みたいなとこだと人少なくて見やすいよ。」
私は別にどこで見ても構わないのだけど多分及川と私を2人きりにしようとしてる松川くんたちの意図を汲もうかな。
『じゃあそうしようかな。及川場所分かる?』
「うん分かる!」
「に変なことすんじゃねえぞクソ川」
「岩ちゃんひどい!応援の一言も言えないわけ!?」
「うっせぇ早く行けボケ川」
「んもう!今行くよ!!」