第15章 青の日々 (及川徹)
いつもより小さな歩幅で歩くちゃんが綿あめの屋台を見つけて目を輝かせる。
「あれ食いてえの?」
『うん、食べたい』
「買ってきてやるからそこのベンチで待ってろな」
『え、悪いよ』
「気にすんな。及川、とそこで待っとけ」
「わかった!まっつんたち焼きそば買いに行ったからここに戻って来てって言っとく!」
「頼むわ」
人混みに消えていく岩ちゃんを見送って2人でベンチに移動する。2人きりにしてくれるなんて感謝だよ岩ちゃん!!あぁ…慣れない草履で歩く姿が可愛すぎてたまんない…。
「歩くの辛くない?平気?」
『まだ大丈夫だよ、ありがとう』
「あ!ハンカチ敷くから待ってね!」
ベンチにハンカチを敷いてから彼女を座らせる。せっかくの浴衣が汚れるといけないからね!
『ありがと及川』
「ううん!素敵な浴衣が汚れたら大変だもん。ほんとに可愛すぎてなんか心臓痛くなってきた…笑」
『また大袈裟なこと言って…』
「俺がちゃんに対して大袈裟だったことある!?」
『え、毎回?』
「もう!いつになったら分かってくれるの!可愛い!好き!大好きーー!!」
「及川まーた告白してんの?」
焼きそば片手に戻ってきたまっきーの声に意識が持っていかれる。せっかくいいところ(?)だったのに雰囲気クラッシャーめ!!
「ちょっと今いいところなんだから入ってこないでよまっきー!!」
「いいとこだったかあ??」
「これから!いいとこなの!!」
「ちゃんも焼きそば食べる?はい、あーん」
『あ…うん、ありがとう』
あーん…?
あれれれれれ?なんでちゃん口開けてるの。ダメですけど!?絶対にダメなんですけど!?
「ちょおおおっとまっつん!!なんで隣座ってんのダメ!距離近い!離れて!あーんとか絶対させないから!?」
「ちゃんも焼きそば食べたいかと思って」
『いただこうかと思って』
「だーめ、食べたかったら俺が食べさせてあげるから!こんな歩く18禁に食べさせられたりしたらぜーったいダメ!!」
「ちょっと言い方ひどいんですけど〜」
目離すとコレだもん!油断も隙もない!!