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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第15章 青の日々 (及川徹)



重ねられた大きな手に包まれるだけで伝わってくる。こんなに誰かに愛されることはこの先もうない。

「ちゃん」

『うん?』

「今恋愛をする気は無いんだよね…?」

『そう、だね。』

今は、なんて都合のいい言い訳。
私は生涯誰ともお付き合いなんてできない。

「もしもすっっごくタイプの人に告白されても付き合う気は無いんだよね??」

『え?』

「絶対絶対恋人は作らない?」

『えと、まあ…うん?』

「ちゃんが恋人を欲しいって思うその日まで俺待ってるから!だから絶対誰のものにもならないで…ほしい。」

懇願するように私の手を握る。でもね、私は今だって及川が欲しいよ。許されるなら及川の隣にたい。

『…うん、じゃあその日が来るまで待っててね』

「うん!ちゃんの彼氏に選んで貰えるように俺めちゃくちゃいい男になるからちゃんと見ててね!」

『分かったよ、楽しみにしてるね』

私はずるい。受け入れる覚悟も打ち明ける勇気もないくせに及川の心は独り占めしていたい。

「だからこれからもずっと好きでいさせて欲しい」

『うん』

「ありがとう」

微笑んで私の頭を撫でる手がすごく優しくて思わず涙がこぼれそうになる。ありがとうは私の方だよ。

「そろそろ寝る?明日も早いよ」

『うん、寝ようかな。』

ベッドに潜って横たわるとすぐに私の手を握り直してくれる。

「手かわいいね」

『及川はなんでもかんでも…』

「だって全部可愛いんだよ。仕方ないじゃんか。」

きゅっと握られた手があたたかくて体がじんわりあったまるみたいな感覚になる。

『あったかい』

「俺の手?」

『及川の全部が、だよ。』

及川の存在自体があたたかい。大切をつくってこなかった私にとって初めてできた ひだまり のような存在。いつでもそこにいてくれるあたたかい存在。

「ちゃんのこと好きすぎてかな♡」

『もう分かったってば笑』

「ちゃんが恋人作る気ないからって好きなのを伝えるのはやめてあげないからね。」

急に真剣な顔をして何を言い出すのかと思えば変わらず溶けるほどに甘い言葉。もうずっと前から絆されてるなんて及川はきっと知らない。
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