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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第15章 青の日々 (及川徹)



1度フラれたことなんて今の俺の頭にはない。男なんて単純だ。かっこいいって言われたら期待しちゃう。だって好きなんだよ。好きな女の子に2人きりの部屋でそんなこと言われたら期待するって。

「俺さ、まだちゃんのこと好きだよ…」

『うん、?』

知ってるけどって表情できょとんと俺を見る。

「振られてんのに好きなんだよ。諦めらんない。」

『及川?』

「好き。大好きだよ。」

『ありがとう』

どうしよう。こんなの伝えたって変わらないのに。どんどん溢れてくるよ。好きでどうしようもない。ちゃんに全部全部伝えたくて仕方ない。

「あの、困らせたい訳じゃなくて…」

『分かってるよ。別に困ってないし。』

「俺…かっこいいとか言われると期待しちゃうよ。」

『ほんとにかっこよかったよ。』

俯いた俺の顔を覗き込むみたいにして俺の手に自分の手を重ねた。

「え、え、え…手…っ」

『及川は私にフィルターかけすぎだよ。触れただけでこんな反応されると意地悪したくなる笑』

「ま、って!待って待って…深呼吸させて…」

何この展開聞いてない!!
ちゃん手ちっっちゃい可愛い…!
フィルターかけすぎとか全然そんなことないしむしろ崇めさせて欲しいくらいですけど。あぁもう心臓うるさああい…!!

『落ち着いた?』

「むり…かも。心臓どくどくしてやばい。」

『及川は大袈裟だなあ笑』

「むり…好き。俺じゃだめ、かな?」

『うーん、私に恋人とか考えられないからなぁ…。』

眉を下げてごめんね、と言うちゃんの言葉がどうしても本心に聞こえないのは俺の都合のいい解釈にすぎないと思う。いつか首を縦に振ってくれるって思うのはなんでだろう。そんな保証どこにもないのに。

だからますます諦められないんだよ。

『及川にはもっと素敵な人がいると思うし』

「いないよ。俺にはちゃんだけ。こんなに好きになれる人がいて俺はすっごい幸せなんだよ。」

ちゃんを好きで俺は幸せ。
でも想うだけじゃ足りない。ちゃんも同じ気持ちならいいのにって欲だけが膨らむんだ。俺と同じように触れ合うだけで鼓動が早くなったりして欲しいって思っちゃうんだよ。
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