第15章 青の日々 (及川徹)
いつもはベッドに横になったちゃんの隣で椅子に腰掛けてるから向かい合って座るのは初めてだ。なんか、ドキドキする。
「あ、照明切り替える?明るすぎない?」
『あーうん。そうしようかな。』
真っ白な蛍光灯の下じゃなんだか落ち着かなくて溝口くんが持ってきたらしいオレンジの小さなライトに切り替える。ベッドにライトまで…溝口くんいわく女の子が来るってなってどうしたらいいか分かんなくなってとりあえず支障のないよう買ってきたらしい。おかげでちょっと雰囲気出てますありがとう!!
『溝口さんこのライトどこで買ったんだろ。私も家のベッドの横に置きたいなぁ。』
「俺明日聞いとこっか?」
『ほんと?お願いしようかな』
「うん、これくらい任せて」
丁度いい明るさ〜って姫様ご満悦です。
溝口くんナイス〜!
『ねー及川』
「なあに?」
『5日間ありがとね。楽しかった。』
「え?いやいやお礼を言うのは俺たちの方だよ!すごく助かったし、一緒に過ごせて幸せだった!」
『幸せって大袈裟な…』
「大袈裟じゃないよ、ちゃんと過ごせる時間は俺にとって全部宝物だから。今こうやって2人でいられるのなんてほんと夢みたい。」
それくらいに尊くて幸せな時間。
俺にとってちゃんてそういう存在。
ありえないくらいに大好きだって知ってて欲しい。
『…5日間、近くで及川のプレー見て思ったの。』
「…うん?」
『かっこよかったよ』
「え…?は、え?」
『バレーと真剣に向き合ってる及川のことかっこいいってちゃんと思ってるよ。』
向かいに座る彼女がこの数秒で2度もかっこいいと言ってくれた。これこそ夢って感じなんだけど現実…??
「うそ…俺かっこよかった…?」
『うん、及川はかっこいいよ』
3回言ってくれた。
やばい叫びたいくらい嬉しいなにこれ。