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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第15章 青の日々 (及川徹)



試合が終わって客席に駆け上がった俺を呆れ顔の彼女が迎えてくれる。そのうしろから俺を連れ帰ろうと着いてくる岩ちゃん。顔が怖い!!!

「ちゃん来てくれたんだ嬉しい!及川さんのサービスエース見てた!?」

『あーうん見た。』

「どうだったどうだった!?」

『すごかった。岩泉もすごかった。2人ともすごかった。あと途中で少しだけ出てきた1年生の黒髪の子?もすごかった。』

「あー影山か。天才ルーキーってやつだよ。な、及川?」

むっかー!
影山より絶対俺の方がキレキレだったし!

「なんでよりによって影山!?ちゃんセンスないー!及川さんが1番輝いてたでしょ?」

『でもあの子1年生なんでしょ?凄いじゃん』

「ねーえ!俺は!?」

『うそうそごめん、ちょっと意地悪した。及川のサーブすごかった。バレーの試合初めて見たけど楽しかったよ。』

「…へ?」

まってなになに何が起きたの?
俺今ちゃんに褒められてる?
嘘でしょ?夢なの?なに!?

意地悪に笑う彼女にトスっと弓矢で打たれた様な感覚に陥る。

『また気が向いたら見に来る』

「む、むかせるっ」

『え?』

「気向かせる、から来て!」

『うん、また誘って』

そう言ってちゃんは初めて俺に笑いかけてくれた。だから俺はこの日のことも忘れない。

「おら下戻るぞ及川」

「いわ、ちゃ…岩ちゃん…ちゃんが俺に初めて笑いかけてくれたよぉ…っ!」

「良かったな」

「俺のプレー見てくれてた…!」

「良かったな」

「今日も可愛かった…」

「おー、良かったな。戻るぞ。」

べそべそしてる俺を引きずる岩ちゃんの袖で涙を拭きながら皆のところに戻った。

「俺の服で鼻水拭くんじゃねえボケ川ボケェ!!」
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