第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
ちょっと真剣に言いすぎたかも。
だってちゃんの顔が紅い。
さっきから勘違いしそうになるんだよ。
もしかしたらって。
少しは俺の事意識してくれてるんじゃないかなって思っちゃうんだよ。
『…ありがと。角名くん。』
「いーえ。まぁいつも支えられてるのは俺たちだから。ありがとうはこっちのセリフだけどね。」
『ふふ、これからもよろしくね』
柔らかく微笑むこの表情が好き。
悲しい顔なんてさせたくない。
傷ついて欲しくない。
俺が守るから。俺に守らせて欲しい。
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帰りの電車、治と話してる隙に侑がちゃんの隣に立っていた。
「なあなあ、練習前のあれ平気やった?」
『あ、うん…っ侑くんと角名くんが来てくれから。』
「なんかされそうになったら言うんやで?」
『ありがとう侑くん。頼りにしてます!』
「おん、頼ってや!俺らのだいっじなマネやからな!」
『頼もし〜!』
むりー。ねぇむり…。俺のちゃん…!侑に笑いかけないで!侑が好きになっちゃう!!!
「ねえ俺もいるよ?ていうか俺だけで足りてるよね?」
『角名くんもいつもありがとう』
「ううん。たくさん頼って?」
『たくさん頼らせてもらうね』
「入ってくんなや角名ァ!俺が話してたんに!」
「うるさい侑。ちゃんに付きまとわないで消すよ。」
「言いすぎやろが!」
「ほら次侑たちの降りる駅だから。じゃあね」
「なあサムぅ!ちゃん角名と2人にするん不安やねんけど!?」
ちゃんの肩を抱き寄せて侑から距離を取らせると口をとがらせて治に抗議しだす。
「仲ええのはええことやわ。なあちゃん?」
『ぇあ、う、ん…!』
まるでちゃんの心の中を知ってるみたいに穏やかに話す治に彼女が若干動揺をしたようにみえた。
「ほな俺ら降りるわ、また明日」
『うん、また明日ね』
「角名おまえちゃんに変なことしたあかんで!」
「はいはい早く降りなよ。じゃあね。」
適当にあしらって双子が降りたあとはいつもどおり2人だけになる。今日はいろんなことがありすぎてきっと精神的に疲れてるはずだよね。いつも肝心な時に1歩遅い自分が嫌になる。