第3章 初恋 (佐野万次郎)
『もしもしエマ?―うん、―そっかそっか
うん―わかったよ―そうするね、はーい
残しとく残しとく!はは!―うん―連絡ありがと』
「エマ何だって?」
『エマ今日お友達とご飯たべるってさあ
だけど少しだけ残しといてって!』
「じゃあ今日は真一郎とじいちゃんと4人だな」
『うんそーねえ』
「、荷物俺に持たせてよ」
『え、いいよこれ全部私のだもん』
「持たせてよ、俺彼氏なんでしょ?」
今だけでいいから…嘘でもいいから…
の彼氏やらせてよ。
『ふふ、そうだね?
じゃあ持ってもらっちゃおうかな!
はい、手も繋ご!』
差し出された荷物を持って手を握った。
昔から何度も繋いできた手。
小さくて細くて守りたくなる。
「の手ちっせえな」
『万次郎くんがおっきーんだよ
男の子って感じがする大きくなったね』
「真一郎とどっちがかっこいー?」
また自爆しそう…聞かなきゃ良かったかな。
『えー、悩むなあ…
2人とも違うカッコ良さがあるから。
私は2人とも世界一かっこいいと思ってる』
「な…にそれ。世界一は1人だよ」
『それでも…2人が世界で1番だよ。』
本当にそう思ってそうな表情と声色で言うから
俺はなんにも言えなくなった。
少しの沈黙を着信音が破った。
プルルル
『またエマかな?ごめん出るね』
繋いでいる手とは反対の手で電話に出る
『もしもーし―あれ、真ちゃん?―うん
そっか頑張ってね―うん、残しておくよ―
なーに真ちゃん―はいはい好きよ―じゃあね』
「今度は真一郎?」
『真ちゃん仕事で遅くなるってさあ』
「そっか、じゃあ今日はじいちゃんと3人だ」
『だねえ』
2人で手を繋いで家までの道を帰った。
こんなの久しぶりで永遠に着かなきゃいいのになんて思ったけど好きな人と過ごす時間てこんなに過ぎるの早かったっけ。
『よーし、着替えてから少しゆっくりして
そしたらご飯の準備しよーっと』
「あ、ねえコレ見て、じいちゃんからだ」
《夕飯は子供たちだけで食べてくれ
ワシはのじいちゃんと過ごすので
帰りは朝になります》
「だってさ」
…え、二人きり…?