第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
1時間くらい経ってタッパーにメモを貼ったちゃんが冷蔵庫をパタンととじた。
『よしっ』
「ほんとありがとう」
『タッパーに食べ方のメモ貼っておいたから温める時間とか分からなかったら見てね!他になにか分からない事があったら私に連絡ください!』
「うん、分かった。何から何まで助かります。このお粥もめちゃくちゃ美味かったです。」
『全然だよ。冷蔵庫の中身期限近いもの勝手に使っちゃったんだけど良かったかな…?』
食器をシンクに運ぶと、俺の手から空になった皿を受け取って洗い物までしてくれている。同棲体験…ですかこれは???
「全然使ってくれて大丈夫。ていうかあり物で作れる技術ないから助かる。」
『普段自炊してるの?』
「うーんなるべく…?けどレパートリーとかないからいつも同じような感じ。もう栄養取れればいいやって感じだよ。」
男の一人暮らし、ましてや高校生で一人暮らし自体あんまいないし。多分みんなこんなもんでしょ。部活に支障が出ないように栄養さえ取れれば問題ない。お昼は学食があるし。
『…たまにご飯作りに来てもいいかな?』
「ぇ、あ…俺は構わないどころかめちゃくちゃ助かるけど負担にならない…?」
『料理好きだからむしろ楽しいくらいだよ!』
既に心は奪われてますがたった今しがた胃袋も掴まれました。好きな子が料理作りに来てくれるってなんの神イベなわけ?でも待って警戒されて無さすぎじゃない?男の一人暮らしに単身乗り込んできて料理作って帰ってくの無防備すぎるよね???いや?でも一旦下心を隠して一緒にいる時間作るのが大吉だよね?うんそう。
「ちゃんさえ良ければお願いしようかな。」
『良かった、美味しくて栄養あるもの何か考えておくね』
よっっっし。
誰にも邪魔されない空間ゲッット!!!
「たまには一緒にたべてくれたりする?」
『角名くんがいいならもちろん』
「俺毎日1人だからさ…一緒に食べてくれたら嬉しいかも。」
『じゃあ一緒にたべよう!今度来る時はそうしようね!』
「うん、楽しみにしてる」
わー…食器とか買っちゃおうかな。
気早い?でも俺1人分しかないし…次のオフにでも買いに行こ。なんかまじで同棲みたいでやばいんですけど…。