第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
side you
治くんの言葉にドキっとした。
私の心の中が全部…全部見透かされてるみたいで、消化したはずの角名くんへの気持ちも逃げ出したいと思う今の気持ちも。
私の彼氏は愛知の高校で出会った人だった。マネージャーを務める男子バレー部の3年生。周りをよく見ていて、頼れるキャプテン。困っていると真っ先に声をかけてくれたのはいつもキャプテンだった。
「が困ってたら俺が助けるよ」
「俺の事頼ってよ」
「髪型変えたの?可愛い似合ってる。」
「俺気づいたらのこと目で追ってるんだよね」
「好き。俺と付き合って」
与えられる言葉が、行動が、どんどん甘くなるなあってさすがの私も気づき出した頃 先輩から告白を受けた。この頃には周りの部員も先輩の友達にもお似合いだって言われることが増えて付き合ってるのかって聞かれることも少なくなかった。特に断る理由もなく、尊敬している先輩からの告白は嬉しかった。
付き合った次の日、先輩が誘ってくれて一緒に帰った。校門を出てすぐに繋がれた手はすごく自然で慣れてるのかな、なんて考えてた。いつも家の前まで送ってくれて荷物も持ってくれて、周りに私の事を彼女だってちゃんと紹介してくれて、素敵な人の彼女になれたことが嬉しかった。
初めての彼氏も初めてのデートも初めてのキスも初めての行為も…私の初めては先輩だった。
違和感を感じ始めたのはいつからだろう。
会う度に身体を重ねようとする彼に外でデートがしたいと言ったとき?ううん、多分もう少し前から感じてたこと。悩んでやっと伝えられた時には少し時間が経ってた。
『先輩…たまにはお出かけしませんか?』
「それもいいけどこうやって触れてたい。好きな子に触れたいって思うのは変?」
『いや、変じゃないですけど…っん、はあッ』
「の身体熱くなってきた…たくさんシてあげるからね」
結局いつも半ば強引に抱かれて、抵抗してもベッドに引き戻されて、言葉と裏腹な激しい行為に愛なんてないと気づいた。
隣で眠る先輩の携帯が光ってその通知をふいに見てしまった。先輩からよく聞く名前…きっと仲のいい友達からだった。
《今日のちゃんとのハメ撮り早く見たいんだけど!》
『……っなに、これ…』
今日の…?
これが初めてじゃない…?
震えが止まらなかった…。