第3章 初恋 (佐野万次郎)
『ねえ、万次郎くん!
こっちの色とこっちの色どっちがいいかな?』
ワインレッドのLipとブラウンレッドのLipを
交互に見ながら俺にどっちがいいかと聞く。
正直どっちでも似合ってるし可愛い。
でも強いて言うなら…
「俺はブラウンレッドの方が好きかな
どっちも似合ってるけどね」
『そっか、んああこっちも可愛いけどな…
いやでも!こっちにするね!』
ありがとうと言って俺が選んだ方のLipをレジに持っていくと会計を済ませて笑顔で戻ってきた。
「可愛いの買えてよかったね」
『うん、万次郎くんのおかげ!
えへへ〜可愛いなあ。明日から使おっと!』
「つけたら1番にみせてよ」
『わかった!万次郎くんが選んでくれたしね!』
こんなちっぽけな約束ですら嬉しくてたまんねえ
「じゃあ次は…した…下着…?」
『うん、こっちこっち!』
手を引かれてやってきたのは下着店。
初めて来た…緊張する…。
『わー、可愛いなあ迷うなあ〜』
アタフタしている俺にはお構い無しで真剣に下着を選んでいる。俺はどこを見ればいいのか分からずとりあえず天井を見上げた。
『万次郎くんっ』
「ん、なにっ?」
『どっちがいいと思う?』
が手に持っていたのは上品な真っ白いレースの下着と黒の下着。え…これ買って着るんだよね?それ俺が選んでいいの!?
「え…っと…俺が選んで…いいの?」
『私が選ぶといつも同じようなもの買っちゃうし…あ、そうだ!万次郎くんが彼女に着てて欲しいのは…どっち?』
ドクンと大きく心臓が跳ねた。
彼女に着ててほしい下着…?
彼女なんていらない。しか好きになれねえって言えたらどれだけ良かっただろう。でも困らせたくないから。
俺がを脱がせた時に
着ていて欲しい下着は…。
「…くろ。」
『こっち?じゃあ黒にするねっ
万次郎くんはお姉さん系が好きなのかあ〜』
「…なんだよ。」
『お姉さん系が好きなの万次郎くん?』
「…あーそうかもな。」
俺が好きなのは昔からずっと…。
早く伝えれば変わってたのかな。
『ふ〜ん、じゃあ買ってくるね!』
「ん、」