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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第3章 初恋 (佐野万次郎)


「てか、万次郎〜、賢おっそくね?」

「…たしかにケンちんが遅刻とか珍しい」

『なんで、今日なんかあるの?』

「…?学校?」

ケンちん毎朝来て俺の髪の毛結いてんじゃん

『え?今日祝日だよ?』

「え?まじ?」

『え、真ちゃん社会人ならしっかりしてよ!』

「どっちにしろ仕事だわ…。
そろそろ行くかあー。」

『今日も頑張ってね真ちゃん!』

「うん、行ってくるわ!
はい、ぎゅー。」

恥ずかしげもなく俺の目の前でを抱きしめて額にキスを落とす真一郎。毎日のことなのに毎度顔をあかくする。

パタンと玄関が閉じる音がして、家には俺との2人だけ。じいちゃんは朝から道場でちびっ子たちの稽古中。

「ねえ」

『なあにー?』

「今日なんか予定あんの?」

『んー?今日は特にないかなあ』

「んじゃ俺とデートしてよ」

『万次郎くんとデート?いいね、行こうか!』

案外あっさり承諾してくれて驚いたけど
相手にされて無さすぎて虚しくもなる。

お互い準備を済ませて家を出た。

「どっか行きたいとこある?」

『んー、えーっとねえ…
あ、新しいリップ買いたい!』

「ん、じゃあそれ見に行こう。あとは?」

『んー、新しい下着欲しいかなあ』

「え、それ俺ついてって大丈夫なやつ?」

下着というワードに心臓が跳ねる。

『大丈夫…だと思うよ?
あ…なんなら選んでよ!』

「え!俺好みの選ぶの…!?」

『うん、やだ?』

意地悪く俺の顔を覗き込む。
やっぱり5歳差って余裕が違うのかな。
俺ばっかの言葉ひとつひとつにドキドキしたり浮き沈みしてガキすぎるよなあ。でも好きだからしょーがねえよな。

「や…じゃねえけど俺でいいの?」

『万次郎くんとのデートだもん』

「そっか。それならいんだけど。」

『万次郎くん行きたいところないの?』

「やー、特にないかな?
の行きたいとこ全部ついてく」

だって俺はと一緒にいられるだけで幸せ。家の中じゃ家族みたいだし真一郎の彼女だし。でも外出れば周りから見た時カップルに見えんだろ。そういうの嬉しいじゃん。俺だけしか思ってねえと思うけど。
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