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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第3章 初恋 (佐野万次郎)


コンコン

ガチャ

『万次郎くん、おはよう
朝ごはんできるからおいで』

「…んーっ」

『万次郎くーん、おーはーよー?』

「ん、…!?
あれ…エマは?」

『エマは今日朝早いからもう出たよ』

いつも俺を起こしに来るのはエマだったのに今日はもう出かけたらしく、が起こしに来た。びっくりして起きてしまった。昨日の夜聞いたの甘い声が今も耳に残っている。

『なんだ、寝起きいいじゃない!
エマが言うから覚悟してたのにーっ』

「…」

『なーに?』

「あのさ…昨日の夜…」

『昨日の夜…?
…あっ!お部屋まで運んでくれてありがとう!
私酔ってたよね…?ごめんね迷惑かけて…っ』

「あ、ううん全然いいよ
体調どう?気になってたから聞きたくて。」

体調が気になってたのはほんと。
けど聞きたかったのはそうじゃない。
真一郎と一緒に寝たの?って聞きたかった。
聞いたらどうとかないけど…ただ知りたかった
あの後は真一郎の腕の中で寝たのか。

『ぜーんぜん大丈夫!
私ってば万次郎くんに運んでもらってから
すぐ寝ちゃってたみたいなんだあ』

「あ…え…そうなんだ?」

『うん、そうなんだよねえ
真ちゃんには待ってるって言ったのに
悪いことしたなあ…後で謝らなきゃっ』

「え?」

『ん?ほら、もうリビングいこ?』

え、昨日の夜のこと覚えてないの?
真一郎とあんなに愛し合ってたあの甘い声は
俺の聞き間違え…んなわけねえよな。

『万次郎くん?』

「あ、うん、今行くよ」

2人揃ってリビングに行くと大あくびをしている真一郎がもう席についていた。

「おー、はよ万次郎
また今日も頭すんげー事になってんぞ!」

「んー、ケンちんが来たら結んでもらう」

「賢はお前の世話ばっか大変だなー、ははっ」

「だってケンちんだもん」

「んだそれ!
あ、そーだ!
昨日話したやつどーする?」

『え?昨日?なんか話したっけ!』

「えと、昨日の部屋で…
夜話したやつ、うそ覚えてねえの?」

心臓がドクンと跳ねて緊張感が体を抜けていく

『昨日…私部屋に連れてってもらって…
そのあとすぐ寝た…んじゃないの?』

「え!?うそ!やだやだ!え!?
覚えてねえの!?じゃ…アレも覚えてない?」

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