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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第3章 初恋 (佐野万次郎)


『…んっはあ…っ』

「…かわいい。」

いやだ…聞きたくない…。

『真ちゃん…っもぉシて?』

「んなこと言ったことねえじゃん…っ
酔っ払いちゃんはえっちなんだ?」

『んーもぉ我慢できないよお…っ!』

「は…っ俺ももーむり。」

『んは…ッアアんっ!し…んちゃっン!』

ヤってんだろーな…。
聞きたくないのに聞きたくて。
の甘い声で呼ぶ名前が俺なら…

「 …っここ…好き?」

『んっしゅき…っそこ…アアッ!』

素直に反応して熱を持ってしまった自身の昂りにそっと手をかける。聞きたかった甘い声は思ったよりもずっと刺激的で我慢なんて出来なかった。大好きなの喘ぐ声を聞きながら今夜はいつもより鮮明な妄想で自身を扱いた。

「は………好き。
俺のもんになってよ……はあっ」

俺の声は真っ暗な部屋に吸い込まれていくだけ。

「…その顔すげえかわいよ…っ
んは…っイク顔見せてよ…ああ好き…っ」

『し…んちゃんっしゅき…っンンッ
あっあア…イ…くっ…キちゃうよぉ!』

「うん、イっていーよ…あぁ気持ちい…っ」

好きだといえば好きだと返ってくる真一郎とは大違いだな。俺だって…俺に善がるが見たい。俺で気持ちよくなってよ。俺の名前呼びながらイってよ。俺と見つめあって俺と一緒にイこうよ。こんな妄想虚しすぎるよな。だって兄貴の彼女だもんな…。

なんて考えていれば
向かいの部屋から一際甘い声が聞こえた。

『あぁっしんちゃ…イ…イクぅ!
んんンッ!やあああっしんちゃんっ!アアッ!』

「ん…はあ…っく…俺もイ…く…ッン!」

それから静かになった。
の声を聞きながら俺も果てた。

俺に善がる…きっと可愛いだろうな。

ひとり悲しく処理をして眠りについた。

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