第3章 初恋 (佐野万次郎)
以前、が20歳の誕生日を迎えたとき友達に祝ってもらったと酒を飲んで帰ってきた日があった。エマも真一郎も不在でベロベロに酔って帰ってきたに最初はどうしようかと思った。あの日俺は酒はやめた方がいいと思うって言ったのに。飲んだな…ばか。
『んんー!万次郎くーんっ』
「なーに?酔っ払いはもう寝ような?」
『んーん、万次郎くんとお話したいの〜』
「だあめ、また明日にしような?」
寝てくれねえと俺の理性もたねんだよ。
ギリで保ってんのにやめてくれ…。
『…っぐす。ふぇえんっ!
万次郎くんの意地悪ぅ!やあだ〜!』
「泣くなよ…わかったよ…
お話しよう?な?でもお部屋行こうな?」
『ふぁあい!お部屋いく!』
部屋まで連れてって…そのまま寝かせよう。
「?行かねえの?」
『んー、万次郎くん抱っこして?』
っ!? んなこと普段言わねえじゃん…
俺にも真一郎にだって甘えてるとこ見たことねえのに。やっぱ酒は控えてもらおう…手ぇ出しちまうのも時間の問題な気がする。
「…歩けるだろ??」
『歩けない。万次郎くんだっこお…っ』
「…わ、分かったよ。」
ニコニコと嬉しそうに笑っているを横抱きにして部屋までの廊下を歩いた。すりすりと俺の胸元に顔を擦り寄せて首に腕をまわしている。ドッドッと鼓動を打つ心臓の音がうるさくてならない。
「ほら、ついたよ。
じゃあ俺は部屋戻るけどなんかあったら…」
『っぐす…っお話は…っ?
どーして行っちゃうのおっ!』
「もー…ほんとにお話するの?
泣くなよここにいてやるから、な?」
ベッドに腰をかけぐすぐすと泣くの隣に腰を下ろし顔をのぞきこんで小さい子を宥めるように優しく話す。
『万次郎くんいかないで?』
「うん行かないよ、ここにいるよ
行かないから泣かないで?」
『…万次郎くん』
「…へ??なにして…うあっ!」
突然ぎゅうっと抱きついてきたかと思えばバランスを崩して2人でベッドに倒れ込んだ。あろうことかを組み敷くかたちで。