第13章 お気に入り(松野千冬)
「さんもしかして…」
もしそうなら…どんなに嬉しいか。
「初めてだったりしますか…?」
だってすごく痛そうに顔を歪めるし、血なんて…
『…経験豊富だと思ってた?』
「思っ、てた…」
『こうやって触れたりするのは私だって千冬くんが初めて…です。』
「え、まじすか。やばい…くっそ嬉しい。」
想像以上に嬉しいかもしんねえ。俺しか知らないさんだ…どうしよ今絶対ニヤけてる。
『痛いのは最初だけって聞いたから…だからもっかいシて千冬くん…っ?』
「言われなくてもそのつもりっすよ…っ」
経験豊富だと思ってたのに嘘だろ?こんな幸せなことってない。好きな人の初めてになれるなんて…でもやっぱり痛いのか表情を歪めるさんに少しばかり申し訳なさが生まれる。俺ばっかり気持ち良くなったって意味ねえのに。
「…っは、さん少し力抜ける?」
『ん、ん…っ』
「そう、上手…っはあ、は…ッ」
『ちふ…ゆくんっ』
「さんごめんね辛いよね…」
『ううん…っも、痛くない…っぁあ、あッ』
そう言われるとさっきより表情が和らいだ気がする。もう大丈夫だよ、と俺の髪を撫でて微笑むさんは今まで見てきたどんな表情よりも綺麗に見えた。
「少し動きます…っは、」
『ぁあ…っあ、んっんちふゆく、ん…ッ』
「さんの中熱い…っとけそ、う」
『ん、千冬くんのピクピクしてる…っ』
「気ぃ抜いたらイきそ…なんですよ、」
正直動くたび出そう。セックスってこんなに気持ちいのかよ…さんの中が俺に絡みつくみたいにうねって奥へと誘われてるみたいだ。
『あ…っ今おっきくなった…』
「ぁあ…さん出そ…う、ッ」
『私もきもち、い…ッんぁ、』
細い腰を掴んで突き上げるように何度も奥を責めると甘い声が鼓膜を揺らす。
「さん…っさ、イく…っ」
『い…いよ、きて…っ?』
「ん…っは、出る…ごめんな、さい…っ」
ギリギリで引き抜いて真っ白な腹に欲を吐き出す。