第3章 初恋 (佐野万次郎)
「あれ!!
もう風呂あがってたの!エマは?」
『あれ、真ちゃん部屋いたんじゃないの?
エマは明日朝早いって寝たよー』
「ふーん、万次郎はまだ風呂?」
『さっき行ったからまだお風呂いると思う』
「じゃー…今2人きり?」
『…? この部屋にはね?』
ソファに座る私の隣にきた真ちゃんが抱きついてくる
真ちゃん。佐野真一郎。
万次郎くんとエマのお兄ちゃん。
私の彼氏さん。
私が佐野家に住むようになった少し前から付き合ってる。何度目か分からない告白に私が負けた。こんなに真っ直ぐな人はこの先いないんじゃないかと思った。3年以上たった今でも毎日好きと言ってくれる。家族の前でも恥ずかしがらずにベタベタしてくるのは勘弁だけど、それが真ちゃんだから。私も真ちゃんが大好きだから。そしてなにより佐野家の皆が大好き。
「なー、最近忙しかったしさあ。
万次郎とエマばっかりで俺構ってもらってない。」
『つまり?』
「つまり…俺のことも構えよ?」
『よしよし真ちゃんっ!』
「んーに撫でられるの好き。
なあ、キスしていい?するね?」
『や…ちょっとまっ…んッ』
「…ねえこの先もシたい。
俺随分我慢してんだけど?」
『ま…って真ちゃん…ンンッ』
服の中に滑り込んできた真ちゃんの大きな手が私の素肌を撫でる。ここでなんて無理だよ…!万次郎くん戻ってきちゃう…っ!
「待てねえ…こっち向いて」
視線を合わせれば何度も何度も食べるようなキスをされる。体の力が抜けていくのが分かる。ソファに縫いつけるようにして真ちゃんに押し倒されて首筋に舌を沿わされる。
プルルルルル
『し…んちゃ…電話鳴ってる…よ?』
「…誰だよクソ…。あーもしもし?
あ、ワカ?どーした?…うん…おーいいなソレ!
…あーワカわりいちょっとまって」
チュッ
ワカくんと電話をしていた真ちゃんが携帯を置き、私に触れるだけのキスをしてから頭を撫でてくれた。
「わりぃうるさくしちまうから俺部屋行くな
終わったらすぐ戻るから待ってて欲しい
今日はさ…俺我慢できねんだ…」
『ん…わかった…』
「ん、いい子。じゃあとでな
…わりぃワカ待たせた!」
それだけを告げて真ちゃんは
自分の部屋である離れに行ってしまった。