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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第13章 お気に入り(松野千冬)


side you


恋って、愛ってなんだろう。

千冬くんから好きと言って貰えて嬉しかった。

その先は…?

あの日からもうすぐ1週間が経つ。
1人で考えたって無駄なだけ。
協会に行けば会えるかな…。

―――

連絡先も聞かなかったし会えるわけないんだけど…なんでか今日は会えるような気がして来てしまった。

「お前はなんでまた突っ立ってるんだ」

この声…

『大寿くん』

「何しに来た」

『大寿くんに会いに。』

「残念だが俺はもう帰るぞ」

『そっか…』

そりゃそうだよ。大寿くんにだって予定がある。無理に引き止めるわけにはいかない。

「うちに来るか?」

『…え、?』

思わぬお誘い。

「今日は弟も家にいるはずだ。2人きりじゃない。お前が嫌でなければ場所を変えて話くらい聞けるが。」

『行きます!』

「ならとっとと行くぞ」

大寿くんが跨るとハーレーも心做しかコンパクトに見える。無言でメットを渡されて私も無言で従った。

連れてこられたのは大きな一軒家。
すご…大豪邸だ。

「友達がきてるのか…?少し騒がしいかもしれないが大丈夫か。」

玄関に並んだ靴をみて溜息を着く彼。だけど本当に人がいるのかと思うほどに静まり返っている。

「俺の部屋ここな。適当に荷物置いて座っとけ。飲みもん取ってくる。」

『あ、はい…っ』

誰かの家って圭介とか万次郎とか三ツ谷とか…気の知れた人の家にしか入ったことないからなんか落ち着かない。

「お前は突っ立ってるのが好きなのか」

『あ、いや…人の家ってなんだか落ち着かなくて…』

「まあそうか。」

ペットボトルのお茶を手渡されて半ば強引に着席させられる。あ、これ人をダメにするクッションだ…買おうか迷ってたんだよねえ。こんなに気持ちいんだー…沈んでくう、、

「で、用件は」

『あ、えと…っ好きが知りたくて。』

「愛の次は好きか。」

『私のことを好きだって言ってくれた人がいたんです。』

「ほう。お前はそいつの事が好きか分からないと?」

『好きは、好きです。でも好きのその先ってなんだろうって考えたら分からなくなっちゃいました…。』

好きと言った千冬くんの目は熱を含んでいて、声は少し震えていた。誰かの愛が自分に向くことは嬉しい。でもそれが消えたら…?
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