第1章 好きです先生 (松野千冬)
『あ、おばさんから聞いたんだけどさ
千冬くん成績まーた落ちてるんだって?』
「あ…えーっと…はは。」
『はは。じゃないよ千冬くんっ
おばさんに頼まれたから今日千冬くんのおうち行きます!』
「え、え、あ…今日!?」
『あれ…なんか予定あった…?
今日夜おばさん居ないから監視ついでに来てって
言ってたんだけど予定あるならまた今度にしよ?』
「な、ないよ!ない!」
ほんとは相棒と遊ぶ予定だったけど、んなことどーでもいい!相棒には悪いけどまた今度穴埋めすりゃいいだろ。
『そう…?じゃあ学校終わったら行くねっ』
「ん。待ってるわ。」
キーンコーンカーンコーン
『あ、チャイム!
次の授業いかなきゃ!!
じゃ、またの帰りのHRでね千冬くん!』
そう言ってバタバタと出ていったちゃんの背中を見ながら放課後も会える約束ができたことに頬が緩むのを感じた。
「はあ…やっば。
めちゃくちゃ好きじゃん…。」
呟いた独り言は誰もいない会議室で静かに響いた。
…教室戻るか。
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キーンコーンカーンコーン
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『はーい、みんな今日も1日お疲れ様!
帰りのHR始めますね!』
ちゃんのことを考えてたら秒で帰りの時間になった。
あーかわいい一生懸命喋ってる。
ニコニコ笑ってて超可愛い。
『部活ある人はこのあとも頑張ってください!
このまま帰る人は気をつけて帰ってね!
また明日元気に登校してくださいねえ
では!HRおわりです!さようならあ』
全員がガタッと席をたち、まばらにお辞儀をして教室を出ていく。視線をちゃんに向けるとチョイチョイと手招きをされた。
『ごめん松野くん、ちょっと…』
言われるままついて行けば今度は隣の空き教室に入る。
『あのさ、今日おばあちゃんから荷物届くみたいでね。夜どうしても家にいないとだから…』
あー今日はなしってコトかな…
『私の家で勉強でもいいかな…?
ほんっとごめん千冬くん!』
え…?ちゃんの家…?
「え…逆に行っていいの?」
『もちろんだよー
だけど皆には内緒ねっ
先生が家に生徒連れ込むなんて…ね?』