第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
「あ、テツくんそこのアイテムとって!!」
「あー!!テツ助けて!!」
「うっす」
の父兄に混ざってゲーム中。
ゲームクリアの文字が画面に映し出される。
「一昨日からずっとやってんのにテツくんとやったら1発でクリアしちゃったよ!」
「テツゲームうまいなあ!次のステージもやるか!」
「研磨とたまにしてるからですかね」
「あー、あの子めちゃくちゃゲーム強いよね。将来プロになっちゃったりしてー!」
「ははっ、あいつならあるっすね笑」
約束の昼を少し回った時計。
はまだ準備中だろうか?
「遅いわね。呼んでこようかしら?」
「準備に時間かかってるんすかね?別に急ぎの用でもないんでゲームして待たせてもらいます」
ごめんね、と眉を下げるの母ちゃんに全然大丈夫ですと伝えて再びテレビ画面に目を向ける。
「んじゃ次このステージな。」
「お、ここ研磨とやったことある」
アイテムとってレベルアップ。
モンスター倒して…
あ、あそこの箱なんか入ってそう。
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「テツくんうまーい!今のとこ絶対やられると思ったわあ。研磨くん仕込みのゲームの腕前ハンパないわあ」
「来週末もウチ来いよテツ!」
「え、あ、いいんすか…」
「研磨くん連れてきてもいいしさ」
「声かけてみます」
「よっしゃ、それまでにおっちゃんも頑張るか」
になんの相談もしないまま返事しちまったけど大丈夫かな…。ていうか赤葦のこと家族に話してないのか?
『急げっ急げっ!お母さん私の髪へんじゃな…っ』
「お邪魔してます」
バタバタとリビングに滑り込んできたはお父さんとお兄さんの間に座ってゲームをする俺を見つけるなり一瞬時が止まったように動かなくなった。
『え、ず…ずっといた!?』
「鉄朗くん30分くらい待ってるわよ。お父さんたちに捕まっちゃって可哀想に。」
「可哀想って!テツくん楽しかったよなあ!?」
「もちろんすよ」
『もう…ごめんね鉄朗…』
「いやいや、まじで普通に楽しんでたから平気よ」
『ほんとお待たせしました…髪が上手くいかなくて。』
彼女の髪の毛はふわりと巻かれていていつもとだいぶ雰囲気が違う。