第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
自室に一人でいる時間も、誰かといるときだって寝ても覚めても考えるのはのこと。
なんで別れを告げられたのかも分からない。
あんなに心配そうに俺を見つめるのに。
あんなに無邪気な笑顔で俺の名前を呼ぶのに。
それなのにアイツの好きな奴は俺じゃない。
prrrrr…
電話…だれ?
…!?
ぼーっとベッドに沈んでいた体。携帯電話に表示された名前に思わず飛び起きた。
「も、もしもし」
《あ、ごめんね鉄朗。いま大丈夫?》
「平気だけどどうした?」
から電話なんてまじで珍しい。
《さっき聞こうとして忘れちゃって。あの、もうすぐ研磨くんの誕生日だから明日プレゼントを買いに行くんだけど…鉄朗何あげるか決めてる?被らない方がいいと思って。》
「あぁ、それ俺も聞こうと思ってた。去年は一緒にゲームのカセット買ったよな?」
《うん、でもカセットは今日買ってたみたいだから別のものがいいかなって。ケーキは今年もアップルパイでいいかな?》
「そうね、ケーキはそれ一択だな。プレゼントかぁ。」
《あ、そうだ。鉄朗も決まってないなら一緒に買いに行く?》
「え、行く。行きます。」
《じゃあ明日一緒に決めよう。遅くにごめんね!》
「分かった、昼頃迎えいくから待ってて」
《来てくれるの?ありがとう》
「うい、じゃあまた明日な」
《うんっ》
やっばい。デートだ!!!
今度こそ正真正銘研磨はいない。
服、服どうしよ!!?
あー…が好きな格好は…
「姉貴!」
「うるさい、なに?」
「これ変じゃねえ?」
「その服着てんの久々見た。なに、ちゃんとデート?」
「…まあ。」
は俺の姉貴と服の趣味が合うとかでやけに仲良かったんだよなあ。だから姉貴にデート服聞いてんだけど。
「ちゃんが褒めてくれたニットカーデだって何回も着てたの覚えてるわあ〜」
忘れて欲しいことばっかり覚えてやがるな。
「んで、どーなんだよ」
「私は好きだよ。ちゃんと私好み似てるしいいんじゃないの?てかアンタ振られたんじゃなかったの?」
「うるっせ傷えぐるな!」
「まだ好きなんだ?」
「じゃなかったらこんなこと聞かねえだろ」
「青春だねえ〜」