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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)


side赤葦

女の人を部屋にあげたのはさんが初めてだった。抱きしめたことも、触れたいと思ったのも全部彼女が初めてだった。

このまま離れたくなくて泊まって欲しいだなんて言ってしまったけど、彼女は快く承諾してくれた。

『わがままくらい笑って受け入れるのが恋人なんだよ』

俺の腕の中でそう言った彼女にもう1つ。
隣で寝たい…だなんてさすがに警戒されると思ったが、当たり前のように受け入れてくれた。

隣で…寝る。考えるだけで心臓がうるさい。このまま彼女に触れていたら良くない考えがよぎってしまいそうで慌てて部屋を出た。

バスタオルと普段俺が着ている部屋着を手渡してバスルームに彼女を案内する。さんが俺の家の風呂に…やばいだろ普通に。いや、考えるな。何も考えるな。

バスルームに彼女を押し込めるなりすぐにその場を離れた。1度冷静になりたかった。少しでも清いことを考えなければ…。

しばらくして部屋に戻ってきた彼女はまだ濡れた髪に明らかに大きなスウェット。

『お風呂お先でした…赤葦くんも入ってくる、よね?』

「…ぁ、あ…はい」

『赤葦くん?』

「すみません、風呂行ってきます。」

やばい、やばいやばいやばい…っ!

なんっだあれは!?
彼シャツ…いや彼スウェット?さすがに大きいみたいだど、あれは可愛すぎやしないだろうか。

邪念を払うように頭から熱いシャワーを浴びる。熱を持ち始めた下半身にため息が出る。

「最悪だ…」

こんなの最悪だろ…。
俺は何を考えてるんだ。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「すみませんお待たせしました」

『おかえりなさい赤葦くん』

「あの…服デカイですよね。」

『あ、ぅんでも紐縛れば大丈夫!ほらっ』

そう言ってトレーナーをペラリと捲ってズボンの紐ぎゅっと結んでいるのを見せてくれた。一瞬見えた白い肌。綺麗…だな。

『お風呂あがりってなんだか合宿みたいだね』

「そう、ですね。」

清いこと…なんて考えられるわけがなかった。彼女といると自分の知らない感情ばかりが込み上げてくる。自分が自分でないみたいだ。
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