第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
side 黒尾
休憩の号令と同時にコートを飛び出した赤葦が向かったのは我らがマネージャーのもと。
「さん俺のセットアップどうでしたか」
なんでに聞くんだよ。お前んとこ2人もマネージャーいるだろうが。
『前よりも精度あがって見えたよ。すごい!』
お前が素直に褒めたりなんかするから懐くんだろ。…そんなにさえ腹が立つ。なんにも悪くねえのに。
「さんのおかげです。」
『え?私は何も…』
否定をしたの耳元に口を寄せてからにっこりと優しい笑顔を彼女に向ける。少し動揺したような表情をする彼女に胸がザワつく。
「あ、あかーしまたのとこいるのか!大好きなんだな!!」
赤葦を見つけるなりでっけえ声でプライバシーもクソもない木兎。
「はい、大好きです」
「…は?」
それなのに当たり前かのように返す赤葦に動揺したのは俺の方。告白したってのは聞いてたけど…。意味がわからない。肝心のは赤葦を見つめたままバツの悪そうななんとも言えない表情をしていた。
「なんだあかーしかっこいいなー!!」
『ちょ、ちょっと赤葦くんこんなところで…っ』
「すみません、本当のことだったので。」
『恥ずかしいからもうやめて…?』
「はい、2人きりのときだけにしますね」
『うん…そうして。』
本当に意味がわからない。は…?
振ったんじゃねーの?
こいつら付き合ってんの?なんで?
「今日の夜も電話かけていいですか?」
『うん』
「良かった。じゃあまた夜に。」
今日の夜もってなんだよ。何回もしてるみたいな言い方すんなよ。
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「…ひとつ聞いていい?」
『うん?』
3人で歩く帰り道、口を開いたのは研磨だった。
「その、今日の会話てきにっていうか…もしかして赤葦と付き合ってる?」
『…あ、うん。』
「そうなんだ。いつから?」
『えっと、1ヶ月くらい…前かな?』
「これって知ってる人いる?」
『ううん。赤葦くんが木兎くんには話したみたいだけど。』
「は隠したいの?」
『隠したいわけじゃないけど、言うことでも無いかなって。仮にもライバル校の選手だしね。』
…俺は何も言えずに2人の会話を聞いていることしかできない。